4.1. 生物学と社会 : 細菌の細胞を標的にする薬剤
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抗生物質
感染性細菌を無力化または死滅させる薬剤
ほとんどの抗生物質は微生物由来の自然に生じた化学物質
たとえば、ペニシリンは1928年に初めて単離され、1940年代に入って広く処方されはじめた
多くの病気の死亡率が劇的に減少して、数百万の人命を救った
抗生物質治療の目的は人体への害をできるだけ少なくして感染菌を殺すこと
抗生物質はヒトの何兆もの細胞の中の標的に、どのようにして狙いを定めるのだろうか
多くの抗生物質は細菌細胞にのみ見出される構造に結合することによって、そのような正確さを獲得している
たとえば、エリスロマイシンやストレプトマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコールは、細胞の中の構造の1つである細菌型リボソームに結合する
ヒトのリボソームと細菌のリボソームには、これらの薬剤がヒトのリボソームには影響せずに細菌のリボソームにのみ結合するだけの十分な違いがある
炭疽病の病原菌に対して使われるシプロフロキサシンという抗生物質は細菌の染色体構造の維持に必要な酵素を標的にする
ヒトの染色体は細菌のそれとは構造がかなり違うので、ヒトの細胞はこの酵素なしでも全く健全に生き残れる
ペニシリンやアンピシリンはほとんどの細菌の構造的特徴である細胞壁の形成を阻害する
ところが、ヒトや他の動物の細胞に細胞壁はない
→4.2. 顕微鏡で見る細胞の世界